令和6年4月1日から、新しく相続人申告登記というものができるようになります[不動産登記法第76条の3]。
これは、相続登記の申請の義務化に伴って、申請を怠れば過料に処せられる可能性もあるようになったところ、期限内に申請ができないような場合には、この相続人申告登記をすれば、その申告者は申請義務を履行したものとみなされる、つまり過料を回避することができる、というものです。
相続人申告登記をすると、登記上では相続人(の1人)として自分の住所氏名が載ることになります。相続不動産を実際に管理している者が自分以外の相続人であったとしても、登記上に自分の住所氏名が載るので、権利関係者として第三者から連絡が来ることもあり得ますので、注意が必要です。
また、重要なのは次の2点です。
①相続人申告登記は手続的な手当に過ぎず、実体的には遺産分割によって権利の帰属を確定させるべきであることには変わりがない。
②相続人申告登記をしたとしても、遺産分割によって自分が所有権を取得したときには、やはり登記申請義務があり、これも過料の対象になる。
あくまで教科書的に言いますと、相続の開始があれば、速やかに共同相続人間で遺産分割協議を済ませて不動産の取得者はその旨の登記をするのが理想です。これを遅くとも3年以内にできるのであれば、相続人申告登記をする必要はありません。
[令和6年3月]