召田司法書士・行政書士事務所|長野県松本市の相続登記

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【トピック 27】供託による休眠抵当権の抹消

相続登記のご依頼を数多くいただいていると、土地の登記に明治・大正の抵当権が残ったままであることを時々見かけます。いわゆる休眠担保権です。
本来であれば抵当権の被担保債権が消滅した時に、抵当権の登記を抹消すべきであったものが、放置されてきたと考えられます。
この抵当権の登記を今から抹消しようとすると、通常の手続(土地の所有者と抵当権者が共同して抹消登記申請をする)では、大変困難な状況になっています。そもそも明治・大正の話ですから、当時の土地所有者や抵当権者はすでに死亡しており相続が(場合によっては何回も)発生しているでしょう。土地のほうはご依頼者が相続した物件ですから、何とか相続登記をして現在の正しい所有者名義にすることができますが、抵当権のほうは名義人に心当たりなく連絡の取りようもないことがほとんどであり、事実上、抹消登記は不可能かと思われます。
このような場合の解決方法の一つとして、不動産登記法第70条第3項(令和5年4月1日から第4項に繰下げ)の後段があります。

不動産登記法第70条第3項
第1項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第60条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合(※)において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。

※登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができない場合

これによれば、土地所有者が、現時点で上記規定に基づく金銭を供託したうえで、単独で(抵当権者は手続に関わらずとも)抵当権の抹消登記ができるのです。ただし、この手続は供託すべき金額の計算や事前準備がけっこう大変です。このような事案でお困りでしたら、当事務所までご相談ください。
[令和5年2月]