最近は、遺言を考える方が増えているように感じます。
残された者たちが【相続】ではなく【争族】となってしまわないために、遺言を遺すことは有効な手段です。遺産分割協議が決着するには何年もかかることがありますが、遺言があれば短期間で遺産の承継を確定させることもでき、紛争予防にもなるのです。
しかし、遺言は、いくつかの決まった方式で行わなければ、無効になってしまいます(民法第960条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。)。
また、遺言書に書く内容が大切であり、十分検討したものでなければ、かえって相続人が混乱することにもなりかねません。
そんなとき、司法書士があなたと一緒になって遺言の内容を検討し、遺言書作成をサポートさせていただきます。
令和2年7月10日から,新しく遺言書保管制度が始まりました。
これは,自筆証書遺言を,法務局で保管してもらうという制度です。
保管の申請時に収入印紙3900円が必要ですが,これで一生確実に保管されるのですから,決して高い金額ではないでしょう。
この制度で保管された自筆証書遺言は,公正証書遺言と同様に家庭裁判所による検認手続が不要になります。そして、指定者通知というサービスが利用できます。これは,法務局が,遺言者死亡の際,遺言書が保管されている旨を,遺言者の指定した者(最大3名)に通知してくれるというものです。
また,自筆証書遺言については,すでに平成31年1月13日から,遺産目録に関して自書することの要件が緩和されています(民法第968条第2項 前項の規定にかかわらず,自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(~)の全部又は一部の目録を添付する場合には,その目録については,自書することを要しない。~)。
遺言に関するこれらの改正によって,自筆証書遺言を作成することのハードルがかなり低くなったと言えそうです。
当事務所では,保管申請以外でも,遺言書情報証明書交付請求書等の遺言書保管制度の手続全部についてお手伝いさせていただきます。
遺言の内容自体で迷っていらっしゃることが多いと思いますが,もちろんそのご相談にも,しっかりお応えいたします。
生前贈与という言葉は,人が自分の死亡の前に(推定)相続人等に財産を贈与するという意味で使われることが多いようですが,民法にはズバリ「生前贈与」という単語は登場しません。
もっとも,民法の相続編には「贈与」がけっこう登場しますので,相続を考えるときに,被相続人がなした「贈与」がひとつの重要な要素となることは間違いありません。
ところで皆さんは,「死因贈与」というものをご存知でしょうか。これは民法にズバリそのものの条文があります(民法554条(死因贈与) 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については,その性質に反しない限り,遺贈に関する規定を準用する。)。
死因贈与とは,贈与する人が贈与される人と契約を締結し,贈与する人の死亡によって効力を生ずるとする贈与契約です。
死因贈与は,遺贈と違って,遺言の方式が要求されていません。家庭裁判所による検認も不要です。特に不動産の死因贈与については,仮登記を利用してその旨を公示することができます。
これらの生前贈与/死因贈与は,誕生日プレゼントとかお年玉といった贈与とはレベルが違います。思いもよらない結果(遺留分を侵害して争族を引き起こしてしまった・・・,相続税対策のつもりが贈与税の方が高くなってしまった・・・など)となる前に,その法的効果・税金・登記等について十分注意しながらすすめるべきです。