身近な方がお亡くなりになることは、とても悲しい出来事です。
しかし、残念ながら悲しんでばかりもいられません。
相続は、死亡によってすでに開始しているのです(民法第882条 相続は、死亡によって開始する。)。
各種の公的届出のほかに、しなければならないことがたくさんあります。
相続は、亡くなった人(=被相続人)の権利義務が相続人に移るという、大きな変化が生じる出来事です(民法第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。~)。
ですから、公的届出のみならず、戸籍謄本等の収集及び相続人の確認、遺言の確認、遺産(負債)の確認、遺産分割協議、不動産の相続登記、預貯金など各種名義変更といったさまざまな手続もきちんと済ませておくことが大切です。相続放棄が必要なケースもあります。なかには期限のある手続もあります。
そこで、司法書士があなたの代わりに、またはサポートして、各種の相続手続を上手に進めさせていただきます。
あなたの不動産は,登記名義が亡くなった方のままになっていませんか? 以下のようなことが実際に起こってからでは遅いですので,早めの相続登記をお勧めします。
1 多くの場合,法定相続で複数の相続人による共同相続となりますから(遺言による指定等がなされていないことが多い),これを放置しておくと,新たな相続(二次相続)が発生し,相続人が増え,疎遠な相続人も登場し,より複雑な相続関係に陥り,解決がどんどん困難になっていきます。
2 法定相続分を超える部分(割合)については,きちんと自分名義に相続登記をしなければ,第三者に対抗することができません(※)。万が一,第三者が介入してきたような場合,非常に困った事態になります。
3 令和6年4月1日から相続登記が義務となりましたので(トピックの13,15,21,29に関連記事を掲載),相続登記を正当な理由なく放置していると過料に処せられかねません。
しかし,自分で相続登記に必要な書類を用意し,正確に登記申請することは,それなりに労力と手間ひまがかかります。
そんな時は,ぜひ当事務所にお任せいただければ,事前お見積りで安心・確実に相続登記を完了いたします。
相続登記でお困りの方の一助になるように【相続登記に準備する書類】を特集しましたのでぜひご覧ください!
※(共同相続における権利の承継の対抗要件)
民法第899条の2第1項
相続による権利の承継は,遺産の分割によるものかどうかにかかわらず,次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については,登記,登録その他の対抗要件を備えなければ,第三者に対抗することができない。
相続人が2名以上いるときは,遺産分割が必要になってきます。なぜならば,相続財産を2名以上の相続人で共有している状態になっているからです(民法第898条 相続人が数人あるときは,相続財産は,その共有に属する。)。
不動産を例にすると,例えば被相続人Aさん(相続人はBさんCさんの2名)が土地1筆を所有していたとして,Aさんの死亡により,土地1筆はBさんCさん2名の共有状態になります。この土地1筆をBさんが単独所有したい場合は,Cさんの了解が必要です。詳細は省くとして,これが遺産分割であり,Cさんの了解を得るための協議が遺産分割協議ということです。
これと同様のことが預貯金についても言えます。例えば,被相続人Aさんが銀行に預金100万円を遺していた場合に,この預金100万円は遺産分割の対象になります(最高裁大法廷平成28年12月19日決定)。もし勝手にBさんだけで銀行に50万円の払戻しを要求したとしても,銀行は遺産分割がなされていないこと(又は他の相続人全員の同意がないこと)を理由に拒否することができます。
このように,相続財産を,相続開始による共有状態から,具体的に誰が何を取得するのかについて,相続人全員で協議したうえで,相続登記手続や預貯金の相続手続などを進めていくことになります。
協議した内容は,きちんと遺産分割協議書を作成して残しておくべきです。特に第三者(銀行など)に対しては,この遺産分割協議書を提出することで各種の相続手続がスムーズに行われます。
被相続人に借金等の負債がある場合ですが,相続においては、原則として一切の権利義務を承継するわけですから、義務(=借金)だけ逃れるわけにはいきません。
ただし、相続人には、相続の放棄をする自由が認められています。
相続の放棄をする場合には、家庭裁判所で手続をする必要があります(民法第938条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。)。
相続の放棄をすると、借金を相続しなくて済みます。もちろん、権利(=正の遺産)も相続しませんからお間違えのないように(民法第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。)。
ここで肝心なのは、相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に行わなければいけないということです。決してノンビリできません。
相続の開始があった場合において,各種の相続手続をする際には,相続関係を明らかにするものが必要になってきます。被相続人の出生から死亡まで繋がる戸除籍謄本等,被相続人の死亡時における相続人であることを証する戸籍謄抄本等や,遺言書があれば遺言書などを用意しなければなりません。
戸籍関係書類はけっこうな分量になることが多く,手続先が複数個所あれば,その手間や費用が増大することがあります。(手間という意味では,相続手続をしようとする相続人の側だけでなく,相続手続を受け付ける機関の側においても,戸籍の束から相続関係を正確に読み解くのにかなりの負担が生じていました。)
そこで,便利なのが「法定相続情報一覧図」です。
これは,簡単に言うと,被相続人とその法定相続人を一目で分かるように表示したものです。この「法定相続情報一覧図」は,法務局で,無料で,認証してくれます。法務局があなたのために「~一覧図」を作成してくれるわけではありませんので誤解のないように。
この手続の構造としては,申出人が作成した「~一覧図」を法務局に提出し(戸除籍謄抄本等も併せて提出する),その保管と写しの交付を申し出るという構造になっています。法務局は,法定相続情報として間違いのないことを確認したうえで「法定相続情報一覧図の写し」を発行してくれます。
この方法を利用すると,相続人としては,戸除籍謄抄本は各1部だけ取得して,法務局から「法定相続情報一覧図の写し」を必要な枚数発行してもらえば,複数の機関で同時に相続手続をすすめることができますし,法定相続人が一目瞭然ですから,これまで要していた手間や費用が緩和されることになります。
注意すべきは,これは,あくまでも戸籍関係書類から明らかになる法定相続人を表示したものですので,相続放棄がされた場合,遺言書で相続人の指定や遺贈がされた場合,遺産分割協議の結果等々,最終的な相続関係が反映されたわけではないということです。
預貯金はほぼ全ての方がお持ちだと思いますので(不動産は一部の方だと思います)、相続が発生した場合には、おそらく皆さん金融機関で相続手続をすることになるでしょう。
預貯金の相続手続においては、被相続人名義の口座を解約して、特定の相続人が払戻しを受ける方法が一般的です(遺言があるときはその内容にもよります)。金融機関との相続手続のやり取りは、戸籍謄本等の必要書類の数が多く、面倒に感じることもあるでしょうし、預貯金のある金融機関が複数であれば、手続が金融機関ごとに微妙に違うこともあり、一層わずらわしくなります。
そんなときは、法定相続情報一覧図を利用したり、1枚の遺産分割協議書に全部の金融機関に係る取得配分等を表示するといった方法が有効です。これらの書類作成や金融機関とのやり取りを司法書士・行政書士に任せていただければ、面倒な手続もずいぶん楽になります。