相続が発生した場合に、誰が相続人なのかということは、基本的な情報ですが、それを確認するためには、また、それを証明するためには、戸(除)籍謄本が必要です。
まずは被相続人の出生から死亡まで繋がる戸籍を全て取り寄せなければなりません。被相続人の本籍地が、地元の市区町村以外にあるような場合、それを取り寄せるのは、実はけっこう大変です。郵送での取り寄せとなると、該当の役所を特定し、申請書を適正に記入し、手数料用に小為替を購入し、返信用封筒も用意して発送・・。このため取り寄せ作業を司法書士が依頼を受けて行うことも多くあります。
しかし、今は便利な戸籍証明書等の広域交付サービスが始まっています(令和6年3月1日から)。「広域」とあるとおり、本籍地が地元の市区町村以外であっても、全国の戸(除)籍謄本が地元の役所の窓口で取れるのです。もっとも、このサービスを利用できるのは、本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸(除)籍謄本です。
このサービスのおかげで、お客様ご自身で手間をかけずに取り寄せられるものが増えました。一方で、兄弟姉妹や、配偶者の親など、このサービスを利用できないものがまだ残っています。また、戸籍の附票も対象外です。ですから、司法書士に依頼するニーズも残っているわけで、お困りでしたらご相談ください。
ここで少し余談です。一般的にあまりなじみがないかもしれませんが、実は戸籍謄本の紙は、市区町村でけっこう独自色を出しているんです。紙の色、コピー防止の地紋、ご当地キャラクターの絵などです。ちなみに松本市はピンク色で、アルプちゃんが描かれています。ですから、全国の自治体から戸籍謄本を集めると、赤、青、緑・・とカラフルな束になったりします。ところが、広域交付サービスで取った戸籍謄本は、取った役所の紙が使われています(当然といえば当然ですが)。すると、本籍地が札幌市だろうが福岡市だろうが、松本市役所で取ると全てピンク色になります!これって見た目に区別がつきづらくなって、事務作業上うっかりミスが出そうで怖いです(笑)。
[令和7年4月]