私が松本に移住してきて最初に登った北アルプスの山は,燕岳でした。
百名山のガイドブックに,おまけの山(※)として燕岳が載っており,北アルプス入門の山だと紹介されていたのがきっかけです。
「ツバメ」ではなく「ツバクロ」と読むことも,初めて知りました。
この山は,近くの常念岳と比べて目立つことはなく,麓から眺めて正確に指差せる人は少ないと思われます。
しかし,ひとたび稜線に立って白砂青松の庭園のごとき姿を目にすれば,その美しさに息を呑むはずです。風化した花崗岩が白砂で,緑の絨毯のようなハイマツが青松なのですが,その調和が本当に見事です。
私を北アルプスに優しく迎え入れてくれた,何度登っても飽きない山です。
※ 燕岳は百名山に入っていても全然おかしくない名峰だと思いますが,槍ヶ岳など横綱級の峰々が連なる北アルプスにあっては,残念ながらニ百名山にまわらなければならなかったのでしょう。
[令和3年6月]