令和2年4月1日の改正民法施行に関する話題です。
春は新しいスタートを切る季節です。同時に引っ越しの多い季節でもあります。
そんな引っ越しの多い季節にちなんで,”アパート賃貸借契約の保証人”を取り上げます。
あなたは,家族や親戚がアパート等を借りるとき,保証人になってくれと頼まれたことはありませんか?
今回の民法改正で,このように賃貸借契約で保証人になろうとするとき,注目すべきワードがあります。それは,「極度額」です。この「極度額」とは,保証人が負担することとなる限度額のことです。
例えば,極度額が60万円なら,保証人は最高60万円まで負担させられる可能性がある,ということになります。逆に言うと,60万円を超えて負担させられることはない,ということでもあります。
事前に極度額を知っていれば,覚悟ができるし,安心もできます。
実は,アパート賃貸借契約における保証契約の内容は,借主の債務の全部を負担するというものがほとんどで,将来生じるかもしれない借主の損害賠償債務まで含んでいるのです。これでは,保証人が具体的に一体いくらの金額まで保証しなければならないのか不明でした。事と次第によっては,保証人が借主から想定外の高額な負担を迫られることがあったのです。
改正民法の「第465条の2」は,一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(根保証契約)で,個人が保証人となるもの(個人根保証契約)は,「極度額」を限度として責任を負うこととし,「極度額」を定めなければ無効である,と規定しています。
この規定は,個人の保証人を保護する観点から設けられました。ちなみに,法人が保証人となるケースは除外されています。
個人の保証人は,この「極度額」が定められることによって,自分が負担する可能性のある最大限の金額を事前に知ることができます。この点を踏まえて,保証人になるかどうかの判断ができるようになったのです。
ですから,今後,アパート賃貸借契約の保証人になろうとする方は,「極度額」をしっかり確認してくださいね!
もし,その金額を払うこととなる可能性があることを覚悟できなければ,保証人にならないほうが,後悔せずに済むんじゃないでしょうか。
皆さんの新しいスタートが素晴らしいものとなりますように。
[令和2年4月]