トピック13「相続登記の義務化」について,新しい不動産登記法第76条の2が施行されるより前に相続開始があったものへの適用はどうなるの?との質問がありましたので,それについて説明します。
結論から申しますと,施行日前に相続開始があったものについても「相続登記の義務化」の適用がある,ということになります。
施行日前に相続開始があったものについては,次のとおり読み替えて適用がなされます(附則第5条第6項)。
不動産登記法第76条の2第1項
施行日前に所有権の登記名義人について相続の開始があったときは,当該相続により所有権を取得した者は,自己のために相続の開始があったことを知り,かつ,当該所有権を取得したことを知った日又は施行日のいずれか遅い日から3年以内に,所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も,同様とする。
※一部分かり易く省略等しています。
つまり,義務化の対象は遡及するのですが,施行日前に相続開始があったものについては,少なくとも施行日から3年が経過するまでは,期限は訪れないということになります。それを過ぎれば,相続開始が施行日前か後かということは関係なくなります。
これは本当に影響力のある規定といえるでしょう。これまで義務でないため放置されていた相続登記未了の不動産に,いっきに網をかけることになるのですから。
ところで,一部の新聞報道では『土地相続登記 3年以内』などの見出しが見受けられましたが,この相続登記義務化は「土地」だけに限ったことではなく,「建物」も対象ですので,誤解のないようお願いします。
[令和3年6月]